札幌市西区の自邸では、ついに工事が完成しました。 リノベーションですので、外観は、お約束のビフォー・アフターをお見せします。 右側が完成写真です。
外観は屋根勾配は急にしましたが、平面的な間取りは変えていません。 妻と「この家はリノベーションすると、自分たちのイメージに近い家になりそう」と話し合い、この中古物件の購入に至りました。 また、新築専門で施工管理している私がリノベーションを選択したのは、①土地価格の高騰 ②建築資材の高騰(木材・コンクリート) ③解体費用の高騰 ④国からの補助金がリフォームの方が多いという金銭的な事と、「まだ使える物(古い家でもとても多く再利用できるものがあります)」を大切にしたいという、考えがあったからです。
内装の方は、本当に自分たちがやりたい事をした感じです。 階段は鉄骨階段で、手摺は長くはね出した踏板を天井からも支えるような構造的にし、それを意匠的にデザインしています。
熱源は、ペレットストーブ一台のみです。 北海道の最新住宅では、「セントラルヒーティング」が当たり前で、薪ストーブやペレットストーブを使用する時は、「補助暖房」として扱うのがセオリーです。 しかし私たち夫婦の住まい方は「寒いときは厚着をする」というもので、今まで住んでいたアパートのFFストーブの設定温度は、14度でした。 燃料費のかかる家全体を温めるセントラルヒーティングにする事はしないで、家の断熱性能を高めて、必要最低限に室内を温めるという住まい方にしました。
キッチン周りの施工がとても苦労しました。 既存住宅の柱の長さが昭和仕様の為、一階と二階の間(天井ふところ)が少なく、さらに下屋根の軒を水平にしているので、排気関係で高さが取れず、悩みました。 最終的には、キッチンの天井を10cm下げて、換気経路を確保し、かつ、妻にインテイリアデザインをしてもらいました。(意匠的にキッチン天井を下げている感じなっていますが、実は施工とデザインを融合していて、とても満足しています)
内装の方は、自分たちの好みに合わせているため、間取りが大きく変更しています。 ビフォーアフターでご紹介を出来る感じではないので、新築同様に完成の仕上がりをお見せします。
「インテリアコーディネーター(妻)」+「施工管理者(私)」による家なので、今までご紹介した空間をデザインする設計事務所様物件とは、また一味違った家になったと思います。 なかなか壁紙や照明器具を主張の多いデザインの物を選定するのは、勇気がいりました。 私の方は、木材を色々な種類を使用してみました。 内装にはナラ・ラワン・ヒノキ、ニレ、外壁は道南杉、構造体は既存の柱と梁の他に、ホワイトウッド・レッドウッド・トドマツを使用しています。 特にお気に入りは、巾木や鴨居や棚板で使用したラワンと、床フローリングのニレ、それと、取引先様から気を使っていただき購入していただいた階段・笠木関係のナラ無垢です(物凄く良い材料で、毎日、見るのが幸せです!)。
今回で、「現場監督の自邸」の現場レポートは最後となります。 無事故無災害で工事を完了できたことを一番に嬉しく思います。 また、現場監督である「私」の家だったため、施工した皆様は大変気を使いながら施工されていたと思います。 皆様のおかげで完成したこの家に住むことに、深く感謝申し上げます。
そういえば、外観で影響を受けた家の話ですが、二人います。 一人は、詩人で建築家の立原道造さんの「ヒアシンスハウス」です。 立原さんは昭和初期に活躍した詩人・建築家(東京帝国大学工学部建築学科卒で、あの丹下健三さんの1年先輩)です。
それと、もう一人は、もちろん田上義也さんです。 あのフランクロイドライトの弟子で、北海道の建築家の最初の人です。 こちらは自分で訪問した時に撮った「旧坂牛邸」の写真でが、参考にしたのは、その他「旧小熊邸」「旧佐田邸(函館プレーリーハウス)」の気に入った所を集めた感じです。
あと最後に、自分が平成15年から関わってきたパッシブ換気ですが、我が家では、正当な定義とはなりませんでしたが、自分にとっては、床下自然給気・高低差による高所からの自然排気、そして、家の中を空気が循環するように換気設計した壁・天井ふところ・バランスを考えた床ガラリは、計画されたパッシブ換気の設計であり、住まう事で実感できている事にとても満足してます。(定義から外れているので、パッシブシステム研究会への公開は控えさせていただきました。)
以上が新築住宅の施工管理を100棟近く行った現場監督の家づくりレポートでした! おかげさまで松浦建設の今年度の新築物件の棟数も多く、現場レポートの紹介が込み合ってきましたので、「私の家の話」は今回を最後といたします。 昨年の10月から着工し、新築住宅より長い工事期間の7か月間、現場レポートをご覧いただき、ありがとうございました!
個別現場レポート→「札幌市西区現場監督の自邸」